


9.30, 2024
皆さんは心地よいと感じる音、不快だなと感じる音と言われて思い付く音はありますか?
楽器の音色も好みがあるように、その人それぞれ心地よいと感じたり、不快に感じたりする音色があるように思います。
そんなことで、今日は出した音から伝わるものについてお話したいと思います。
昔、友人が「コンサートなどで奏でる音は、聞いているお客さんに影響する」と話していたことがありました。
その人はそのとき自分に嘘をついていたんだそうです。
そんな気持ちのときに人前で演奏をしてとても後悔した、といった話でした。
え?そんなこと聞いている人にわかるもの?と思われると思いますが、意外と音が与える影響力というのはすごいのです。
この友人の言葉を聞いて、ふと私の音ってどんな音なのだろうかと考えました。
それまで私は、音楽をすることは「私自身のため」でしかなかったのです。
私が自分の出来に満足できるか、思ったように成長できるか、そんな気持ちだったと思います。
とくに若いときは、とにかく必死でがむしゃらでした。
ただごく稀に、演奏後に「心に染みました」と声をかけてくださる方や、涙を流してくださった方がいらっしゃったのです。
そういうときの演奏を振り返ると、自分の演奏の出来や練習の成果のことなどはすっかり忘れていて、ただ音楽に没頭し、演奏しながらその曲の美しさを味わって吹いているときだったりします。
最近の私の感覚でそのときのことを言葉にすると、「自然と歌っているような感覚」なのです。
(なのであまり技術的に難しすぎない曲のことが多いです/笑)
こういうときは吹き手のエゴをあまり感じないというか、聞き手も純粋に「音楽そのもの」を受け取ってくださるような気がします。
曲を解釈し、音を出しているのは「私」なので、完全にエゴがないかといえば違うのかもしれませんが。
つまり、こういう精神状態で吹いた音というのは、単純に力みもなく、極度の緊張や、うまく吹こうという雑念もないわけです。
なので聞き手にも、音楽そのものの美しさが伝わりやすいのかなと思います。
こういうことを毎回実現させるのは、正直なかなか困難ですが…
でも少なくともこのときから、私の出している音の影響というものを感じるようになり、自然と演奏も「私自身のためのもの」ではなくなって、純粋に音楽を楽しむように変わっていきました。
きっと生徒さんが練習ではうまく吹けた!とお話してくださるときも、こういう感覚を自然と感じていらっしゃるのではないかなと思うことがあります♪
困ったことに、音楽やフルートが大好き!という方ほど、こんな風に吹きたい!と理想を持っていらっしゃるので、なかなかただ音楽に没頭することができず苦しまれているように思います。
でも自分の音や演奏が好きじゃない、と思っていらっしゃる方は落ち込まないでください!
それはあなたがそれだけ音楽やフルートが大好き!ということで、向かう先がしっかり見えているということなのです✨
でも練習のときくらいは、誰に何を言われるわけでもないので、ぜひ思いきりご自分の音だけに集中して、(技術的にうまく吹けているかはひとまず置いておいて)ああ何て美しい曲〜!とゆっくり味わって吹いてみてくださいね!
余談ですが、フルートの音に限らずやはり声も音なので、怒った声で話していると周りへの影響力はすごいですね…
娘が最近よく私の話をスルーするなと思うときは、大体私の声が怖いときだと気が付かされます😂